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ファッションを風俗から文化へ
株式会社レナウン
宣伝部部長
川ア 和則
株式会社レナウン 宣伝部部長 川ア和則

●趣味としての雑誌広
そんなに旅行もせず、人並より少し多く映画や芝居を観ているだけなのに、趣味は旅行や観劇といって憚らず、いっぱしの薀蓄を傾けられるのは、雑誌から得る情報のおかげである。旅行やファッションは、どのページが本来の記事で、どこからがタイアップか一見しただけでは判別がつかないほどであるが、純広のビジュアルのクオリティの高さも、これらを扱う雑誌の大きな特徴である。共通のビジュアルがインプットされている疑似体験者同士がさも行ったり観てきたかのように語れるのは、雑誌のビジュアルと豊富な情報の賜である。
雑誌の広告を見ること自体も趣味である。とりわけ、ファッション広告以外、何ら普段の生活と関係のない雑誌の広告は面白い。飲食店向雑誌の厨房器材や、建築業界向のクレーン車等のレンタル広告は、男がステイショナリーを語るがごとく興味がつきない。いや、買えもしない億ションの販売広告をチェックするように、もはや夢の世界である。また、軍事評論誌には、大手商社が、ミサイルや戦車や護衛艦をビジュアルとした広告を掲載しているが、ヒステリックに世直しを叫ぶ人達は気づいていないのだろうか。また、保守系(民族系)のオピニオン誌に、世間から抹殺されたがごとくに無視されている日本浪曼派の文学全集の書籍広告を見つけた時には、そのマニアックさに感動したりもする。

●ファッションと雑誌広告
ファッションを扱った雑誌は、まさに百花繚乱・多士(誌)済々である。定期的に書店売りされている雑誌だけで、優に100誌は超えるであろう。それに、ライフスタイル誌や旅行誌等、ファッション広告の対象誌を加えると、もう覚えきれない。正式な雑誌名(横文字ならスペリング)・出版社名・発行日、発行部数・ターゲット・広告掲載料が答えられたら、とりあえず宣伝・プレスマン合格である。編集者の名前と顔・プロフィールが正確に想起できれば一人前である。ことほどさように数が多い。そして、グラビア誌であるにもかかわらず、ページ数も馬鹿にならない。この3月7日に創刊された女性誌3誌のページ数の合計は1500ページを超える。
これらの雑誌をチェックするのも並大抵の努力では足りない。会社で目を通していれば、宣伝部長は暇でいいなあと揶揄され、ハイティーンの雑誌を電車の中で眺めていようものなら、周囲からヘンタイを見る目をされ、自宅に持ち帰れば、資源回収の朝には重労働を強いられる。総頁規制法でも成立しなければ、この傾向は当分続くであろう。
編集者がカワイイと感じ、読者がカワイイと受け止めれば、服は売れるのだから、ファッション誌、とりわけヤング女性誌がカタログ化していくのはやむをえないのかも知れない。しかし、中には編集者の意思が明快に醸し出され、クオリティの高い写真と軽妙洒脱な文章で構成されている雑誌がもっとあってもいいのではないか。ファッションだからといって一過性で捨てられるのではなく、雑誌そのものの価値を高めて、大げさではあるが、日本の服飾文化を成熟させていって欲しいものである。読者や広告主に媚びることなく、自分の雑誌をもって、読者の文化度を上げていく、と明言した編集長がいたが、まさにその意気や良し、である。

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