雑誌広告2019_06
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sai-zen-sen 私は、入社2年目からメディアの仕事に携わり、長年雑誌広告の担当をしてきました。90年代後半、勢いがあった時代と比べると雑誌を取り巻く環境は大きく変化したと感じています。 資生堂には、雑誌とともに歩んできた歴史があります。流行を先取りし、時代をリードする女性誌に掲載される化粧品の情報は、編集・広告にかかわらず、読者が得たい最新のものでした。そして、読者がお金を払って情報を得る「ペイドメディア」という点で、当時のほかのマスメディアにはない特長をもっていました。 時代は変わり、2018年の「日本の広告費」(電通)から振り返ると、5年連続2桁成長を続けるインターネット広告費が地上波テレビ広告費に迫る規模となっています。いろいろな見方はあると思いますが、私は単純にマス媒体からインターネットという比較的新しい媒体へ広告投資がシフトしているわけではないと思っています。当社は、広告のターゲットである生活者の情報接触状況を精査し、そのコンタクトポイントに合わせた広告メッセージを展開しています。その際、マス媒体の情報もインターネットという手段を使って発信されていることを考慮し、オンライン・オフラインであるかの区別なく、生活者との接点となっていることを捉えて出稿をプランニングしています。雑誌においても同様です。2018年の「日本の広告費」では、「マスコミ4媒体由来のデジタル広告費」が新たに設定されました。その中で、「雑誌デジタル」は337億円と最大規模を誇っています。これは、雑誌が早くからデジタルに取り組んできたこと、また雑誌の情報がインターネットとの相性がよいことを表していると思います。 さらに、「dマガジン」に代表される読み放題サービスによって若年層にもリーチが広がり、紙媒体・デジタル媒体としての雑誌が両立する時代となりました。そんな中、紙が減っていく環境下でのデジタルシフトに躊躇している出版社もあると認識しています。私はむしろ、このデジタル化の波はチャンスとして前向きに捉えていただきたいと考えます。 20年前、雑誌広告の効果を検証するのは至難の業でした。読者がどのように雑誌を読んでいるのか、どの面に注目しているのか、特定の号の調査から類推するしかありませんでした。現在、読み放題サービスでは、発行部数を超えるUU数の雑誌も多くあります。このことを知って、これまで難しかった雑誌の「見られ方」が可視化される道筋ができたと、私はとてもうれしく思いました。その理由は、個々の雑誌のパワーを数字で証明することが、取りも直さず雑誌広告出稿を増やすきっかけとなるからです。私たちは、社内のマーケティング担当者にメディアがもつ力を説明する責任があります。雑誌のデジタル化によって集まった各種のデータはマーケティング側でも興味深く捉えられており、雑誌の強みが再認識され、活用の機運が高まっているように思います。 そういった雑誌のパワーを生活者との接点として最大限活用するためには、例えば電子雑誌の多くがスマートフォンで見られている現状を踏まえ、ユーザービリティーを考えて広告レイアウトを最適化するなど、紙ありきではないフレキシブルな運用が求められてくると思います。紙、デジタル、さらにはインフルエンサー、イベント、Eコマースなど、コンテンツと場を融合して、さらにターゲットへの訴求力が高まる雑誌の未来に期待しています。【インタビュー : 四方田 隆】資生堂ジャパン株式会社メディア統括部メディアバイインググループグループマネージャーVol.   286平池 綾子氏データが可視化する、雑誌のa見られ方b

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