雑誌広告2025_08
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CASE 「ワンダ」といえば「モーニングショット」を思い浮かべる人が多く、とくに男性が朝のスイッチを入れるために飲むコーヒーというイメージが定着しています。しかしコロナ禍を経て、性別に関係なく働き方や時間の過ごし方が大きく変わり、コーヒーの飲用シーンも多様化しました。そこで、いきなりギアを上げるのではなく、自分のペースではじめられるように寄り添い、そっと背中を押す存在へと、ワンダのブランドイメージを刷新することになりました。 ワンダの広告は、これまでプッシュ型といわれるテレビCMが中心でした。多くの人にブランドイメージを広く認知してもらう点では非常に効果的ですが、商品の魅力を深く伝えるには限界があります。そこで、新商品のペットボトル入りのブラックコーヒーとカフェラテの2商品については、ターゲット層に深く届くプル型の施策も必要と考えました。テレビCMと並行して、マガジンハウスさんの『BRUTUS』『POPEYE』『anan』の3 誌とコラボし、それぞれのショートドラマのご提案をいただき、制作することにしたのです。 弊社にとって雑誌社タイアップのショートドラマは初めての試みです。通常、テレビCMの制作においては、脚本や人物設定など、文字ベースの資料のやりとりが中心となりますが、今回はそれに加えて、ムービーやテーマ音楽など、雑誌ごとに参考となるイメージ資料もご提供いただきました。トーン&マナーやクリエイティビティといった感覚的な部分は伝えにくいものですが、こうした資料があったことで世界観の共有がしやすくなり、社内稟議もスムーズに進みました。クリエイティブを大切にしているマガジンハウスさんならではだと実感しました。 また、ドラマ内には、カフェでコーヒーを飲んで「苦い」というシーンや、サンドイッチを食べながらワンダのカフェラテを飲むシーンが登場します。このような従来の弊社発信だと挑戦しにくい表現も、マガジンハウスさんからご提案いただき、ワンダの飲みやすさやコーヒーに苦手意識を持つ人への興味喚起、食事との相性や気分転換plus文 /中木 純2アサヒ飲料株式会社マーケティング本部 プロモーション戦略部ブランドプロモーショングループブランド 3 チーム大塚 貴格氏としての一面を、さりげなく伝えることにつながりました。コーヒー飲料は、一度好みの味に出合うと他商品への切り替えが起こりにくいのですが、ドラマの中では、ごくごく飲むシーンや運動の後に飲む様子など、新商品の伝えたい特長も自然に物語へ織り込んでいただけました。 3本のショートドラマはいずれもセリフが少なく、読者にストーリーを想像してもらう構成です。弊社のテレビCMは説明表現をしっかり行うことが多いので、撮影前は正直、少し不安もありました。しかし、現場ではスタッフの皆さんが立ち位置や商品の見せ方、ライティングなど細部まで丁寧に調整してくださり、同じ目線、同じマインドを共有しているからこそのチームワークで、想像よりもより良いものができる予感があり、安心してお任せすることができました。完成したドラマを観たときは、メッセージ性がしっかりと伝わってきて、社内からも「いい意味でワンダっぽくなくて驚いた」「新しいチャレンジをしてよかった」と非常に好評でした。 今、広告のあり方はテレビCMファーストから、目的に応じた出広先との企画の掛け合わせへと変化しています。そのなかで雑誌を選ぶ理由は、届けたいターゲット層に確実にリーチできること、そして読者目線に立った表現や、雑誌のクリエイティブを活用できることです。今回は本誌にも同時に掲載していただきました。同じ雑誌ブランドという土台のもと、紙媒体とWebという異なるメディアでそれぞれ違った表現ができ、二重の訴求ができたことも大きな強みだと感じています。34雑誌ブランドを活用した広告の新しい試み最前線最前線最前線最前線最前線 +++++

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