雑誌広告2025_09
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美容コンテンツ発、メディア価値の高め方広告の新潮流をつくる戦略とはベストコスメのロゴ活用やコロナ禍のインスタライブなど、美容系メディア発の広告施策は、いまや一般誌にも広がりを見せている。注目を集め続ける美容コンテンツの領域で、読者の関心をつかみ、広告価値を高める仕掛けはどのように進化するのか。美容系メディアの『美ST』『LIPS』、そしてメンズ美容に注力する『MENS NON-NO』の戦略を探る。取材・文/中木 純〝美魔女〟という言葉を生み出したことでも知られる、2009年創刊の『美STORY』。大人の三大肌悩みであるシミ、シワ、たるみをメインテーマに、40〜50代に向けたエイジングケア特化型メディアとして独自の路線を打ち出してきた。また、ビフォーアフターなど、具体的な変化がひと目で伝わる誌面づくりも徹底してきた。2011年には誌名を現在の『美ST』に変更。時代の変化に応じて進化を重ね、昨年3月に千田真弓氏が新編集長に就任したのを機に、新たな取り組みをスタートさせた。者モデル組織「美STリュクス」である。1万200 0人を超える読者会員組織「美ST部」の中から、美容愛・『美ST』愛が強く、発信力にも優れ、クチコミでも話題のトップ読者約40名を厳選。応募制ではなく、編集部員がライターからの評判やSNSなどを精査したうえで直接スカウトするスタイルを取っている。 「読者目線で世界観をリアルに届けるのが美STリュクスなのです」(千田氏) 美容業界のプロによる発茶会の様子を誌面で展開したところ、読者から大きな反響を呼んだという。 『美ST』は、美容誌としては後発だが、その分、他誌にはない先鋭的な取り組みを積極的に行ってきた。現在ではよく見られるようになった表紙や裏表紙を連動させた広告企画は、『美ST』が先駆けだ。 また、モデルのキャスティングにも強いこだわりを 「編集者が読者から日常生活や身のまわりのことを徹底的に聞き出す、弊社伝統の〝読者調査〟を改めて実施しました。その結果、見えてきたのは、かつて雑誌の役割だった悩みの解決が、デジタルに移行しているということ。その一方で雑誌を手に取ってくださる方々は、美容や健康に詳しく、発信力や影響力を持つコミュニティのリーダー的な存在であることも明らかになりました。彼女たちは悩みを解消する以上に、名品や自分をさらに磨くために必要な情報を求めている。つまり、より高いレベルのコンテンツが求められていたのです。この結果を受け、デジタルの『美STONLINE』は悩み解決に特化した方向へ、誌面では美容感度の高い読者に響く企画を展開するようになりました」(千田氏) 美魔女が卒業したタイミングでもあり、その流れで新たに結成されたのが、読読者に身近な存在の美容リーダー組織が誕生新しい事例づくりが次へのヒントに光文社第一編集局美ST編集部編集長千田真弓氏信も欠かせないが、『美ST』の編集方針は、読者が〝今〟本当に求めていることに耳を傾け、それを誌面に反映させることにある。そこで美STリュクスを定期的に集め、情報交換会を実施。推しのコスメや最新メイクテク、お役立ち情報などについて語り合ったお美STリュクスのお茶会のページでは、最新トピックを紹介。実際に愛用しているからこその実感のこもったコメントが読者に響いた(2025年6月号)□美ST□光文社CASE①3

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