つめは、ステイホームで外出を控える生活が続き、家で過ごす時間が長くなったこと。時間に余裕ができた分、スキンケアや筋トレなど自分磨きに取り組む人が増えました。そして3つめは、KPOPブームの影響です。アーティストたちの透きとおるような白い肌やつるつるの美肌は清潔感に溢れ、読者の美意識やファッション感覚に強く響いたのです」(丸山氏) 以降、誌面でもWebでもメンズ用スキンケア商品だけでなく、色付きリップなどのメイク系アイテムも加わり、紹介するアイテムが増えていった。それに呼応して、従来は女性誌が対象だった美容液やファンデーション、アイライナーといった商品の出広も増加した。 しかし、男性が実際にこうしたアイテムを手に取って試せる場は、女性に比べると格段に少ないのが実状だった。一方のメーカー側もユーザーとの接点を求め 来年、創刊40周年を迎える『MENʼS NON-NO』。2 0 1 5年から毎年1回「ME NʼS NON-NO美容大賞」を開催、2021年からは年に2回ビューティ特大号を発行するなど、メンズ美容を牽引してきた。定期的ではないものの、1980年代から男性向け化粧品の大特集を組んでおり、いち早く男性美容を取り上げている。 「『MENʼS NON-NO』は以前より、きれいめでジェンダーレスなファッションも化発信するクロスチャネルも考えられる。 「これまでLIPS単体では難しかった最終的な購買の把握など、より戦略的かつ実効性の高いマーケティング活動が実現できるようになります。新たな試みを今後も積極的に取り入れ、美容業界全体を盛り上げていくことができればと考えています」(有江氏)含め、〝無骨でハード〟といったもの以外の男性像も提唱してきました。そうした背景から、美容との親和性も高かったのだと思います」 と語るのは、メンズノンノブランド統括/ウェブ編集長丸山真人氏。美容企画が急激に注目を浴びるようになった転機は、コロナ禍だったという。その背景には3つの要因があった。 「1つめは、オンライン会議の普及により、自分の顔をじっくり見る機会が多くなったこと。画面越しに映る自分の姿にハッとし、男性も肌のケアの必要性を感じるようになりました。2たちは熱心に、さまざまなアイテムを手に取り、実際に試していました。感想をお互いに語り合う姿は、ファッション系のイベントではあまり見かけない光景で、とても新鮮でした。 美容といえばハウツーやQ&Aといった〝学ぶもの〟というイメージを持っていましたが、参加者たちの様子を見ていると、もっと自由に〝楽しむもの〟ではないかと強く感じました。 男性は、一度気に入ったものを長く使い続ける傾向があります。美容も、ファッションのように感覚的な面白さや、未知のものとの出合いの感動などを誌面でうまく伝えられたら、関心のある一部の層だけでなく、より多くの読者に興味を持ってもらえるのではないかと思ったのです」 と、メンズノンノプリント版編集長の吉□哲一郎氏体験の場を設けメーカーと読者をつなぐ□MENSNON-NO□集英社CASE③* * *集英社メンズノンノ ブランド統括メンズノンノウェブ編集長丸山真人氏集英社メンズノンノプリント版編集長吉﨑哲一郎氏ていたことから、『MENʼS NON-NO』がその橋渡し役になれるのではないかと考えた。そこで昨年、「ME NʼS NON-NO美容大賞」の10回目の開催にあたり、選考会を兼ねた読者参加型のリアルイベントを初めて実施することにしたという。 「参加した読者昨年実施した読者参加型イベント。参加者はメンズ限定の美容イベントがほとんどないことから、積極的に気になる商品を手に取り、熱心に説明にも耳を傾けた。リアルな反応を体感できるとクライアントからも好評を得た6
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