CASE①読者と等身大の編集者が発信することで共感の得られるコンテンツに講談社『VOCE』デジタルメディア今、消費を動かすのは、雑誌を作る“ナカの人”「目利き力×リアルな言葉」の相乗効果編集者自らが登場するSNSやYouTube、製品の魅力を編集者目線で伝えるコラムが注目を集めている。そこから派生したタイアップメニューも好評を博し、新たな価値創出を後押しした。情報が溢れる今だからこそ、知見と審美眼を備えた編集者の“顔が見える”ことが発信に信頼と説得力を与える。『VOCE』『SPUR』『MonoMax』の取り組みを通じて、その発信力の源に迫る。取材・文/中木 純 ソーシャルメディアを活用し、編集者自らが顔を出して情報を発信する取り組みに、他社に先駆けて挑んできたのがWeb版『VOC E』である。本誌編集部を経て、2016年にWeb版編集長になったのを機に、三好さやか氏が始めた。現在はイノベーションプロデューサーとして発信を続けている。 「もともとメイクが大好きで、メーカー様からいただいたサンプルをすべて試してみたいと思い、その結果、毎日違うメイクをしていました。そんな私のメイクに編集部員が注目し、これを企画にすれば読者の役に立つのではと提案してくれた投稿してみたが、美容好きではないフォロワーが増える結果に。以来、コスメ情報に特化した。また、継続することが第一と考え、現在に至るまで1日も休まず更新し続けている。 もちろん並行して、『VO CE』公式アカウントのIn stagram、X、YouTube、TikTokの運用も行い、とくに最近では動画に注力して配信している。メディアの特性によって内容を調整、見やすいように最適化して、メイク動画から座談会、美容クイズなどさまざまな切り口でコンテンツを配信してきた。 もともとは新製品をいちことがきっかけでした。 加えて、当時は読者と同年代の情報発信者があまりいませんでした。経験豊富な美容のプロによる情報も欠かせませんが、長時間の通勤や化粧直しが難しい環境での仕事、シミや毛穴など年相応の肌悩みに共感できる、距離の近い人からの情報も必要とされていると感じたのです」(三好氏) それまでSNSは見る側で発信には興味がなかったが、デジタルの担当になった以上はやるしかないと覚悟を決めた。今でこそ美容賢者やインフルエンサーの動画は珍しくないが、当時は事例がなかった。 「Webは雑誌よりも先に企画を検証し、読者ニーズを探る実験的な場でもあります。長年広告部に所属していたこともあり、SNSで小規模なPDCAを回してみたいという思いもありました」(三好氏) そこで、2018年1月にInstagramの三好編集長アカウントを開設。はじめは、読者との距離感を意識して食事などオフの写真も開設以来、7年半以上、毎日更新しているInstagram。紹介したアイテムを使ってメイクをほどこした自身の写真も必ず入っている編集部員のお試しシリーズはYouTube『VOCEchannel』で人気のコンテンツ。美容好きの聖地@cosme TOKYOで買い物をする様子を紹介講談社第二事業本部 VOCE事業部イノベーションプロデューサー三好さやか氏ナカの人3
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