雑誌広告2026_02
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People Inc.は米国最大級の雑誌メディア企業である。1902年に創業したMeredith社をルーツとし、数度の社名変更や資本統合を経てDotdash Meredithとして活動していたが、昨年7月末に、同社の看板雑誌Peopleと同名のPeople Inc.へと社名変更し、新たなブランディングを開始した。40以上のブランドを保有し、毎月約1億7500万の読者と接点を持つ。特 広告ビジネスにおいては、ウェブ読者のインテントに着目した「D/Cipher」という独自システムを運用し、最適な広告表示に繋げることを推進している。おそらくこれが同社最大の収益基盤となるはずで、そのための多ジャンル・多ブランド戦略であると理解した。ただし、インテント重視は既に目新しいものではなく、むしろ、どの程度の成功事例なのか、今後も継続される仕組みなのか、という点に関心は移っている。 同社は「D/Cipher」の運用も含めOpenAIと早期に提携しており、AI検索の普及やゼロクリック問題についてはネガティブに捉えンドを保有してきた目的が、多様な読者データを可能な限り獲得するためだとすると、選択と集中はその方向性とは逆行する。雑誌業界は同一ジャンルで複数ブランドが切磋琢磨して発展してきた歴史があり、各ブランドの特色が読者データの多様性も担保してきたはずである。生物多様性が環境変化に対するレジリエンスを発揮するのと同様、媒体の多様性にも同じ価値があるとすれば、選択と集中への転換はこれを弱体化させることになりはしないか。数ヶ月前には一部人員整理の報道もあり、同社の方針転換は継続して注視する必要がありそうだ。にライフスタイル系に強く米国女性のほとんどにリーチしているとされる。 同社は有名雑誌を多数保有して、あらゆる顧客層のデータを広範・大量に獲得することを戦略の基盤に置いている。紙の雑誌もDMによる定期購読を主に部数規模を維持し、メール登録やウェブ誘導で顧客データの収集を狙っている。 ちなみに280万部を数えるPeople誌のデジタル版比率は25%で、主流はいまだ紙雑誌である。ただし、「紙媒体の需要が将来的にも維持されると思うか」という研修団からの質問には、「今のところ、なんとも言えない」という回答であった。ていなかった。むしろウェブ読者の記事遷移などのコンテクストをAI分析することで、最適な広告提供ができるという説明であった。 訪問時のヒヤリングの要点は以上だが、報道によると、People Inc.への社名変更と同時に、約40ブランドのうち主要な19ブランドに投資を絞る〝選択と集中〟の体制を明確にしたとされる。残りのブランドも継続はされるものの、成長戦略の埒外となる。社名変更前には、あらゆる顧客にアプローチする「360度計画」なるものを明示していたが、同社サイトからは現在その文言は消えている。 同じジャンルで複数ブラ40超のブランドをデータドリブンで回す米国最大級の雑誌企業の戦略とは青木健祥(文藝春秋)新井邦弘(学研ホールディングス)浜崎裕一(双葉通信社)People Inc. NY本社での面談。Data Strategy&Insight GroupおよびBrand Partnership&LicenseのSVPが出席総部数280万部のうち200万部以上が紙の雑誌。郵送の定期購読は定価の半額以下で送料も廉価であるPeople社の入口にあるPeople誌の刷版のオブジェ【 People誌部数比率 】第58回 JMAA海外研修団レポート 古き金属刷版のオブジェに、老舗出版社の 矜持を感じました!店頭小売(スーパー、書店)10%デジタル版会員25%郵送43%美容院病院など 22%3

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