ディピティが生まれるのは、ユーザーが「共感」できる情報を求めているからだろう。 「調査結果には、閲読理由の自由回答もあったのですが、『MAQUIA ONLINE』の場合、『美容に対する意識を高められる』など、〝自分磨きにつながる〟といった声が多くあり、また総じて長文コメントでした。つまり、共感の延長で偶然に出会うからこそ、お試ししてみたいという心理変容に至るのではないでしょうか」 信頼と共感によって、潜在層ユーザーの心理変容を促す。同調査で見えたこの効果は、雑誌ブランドの持つチカラのひとつと言えるだろう。 「実は、出版社由来の美容メディアでも、媒体ごとに読者の特徴は異なり、その辺りの違いも自由回答などから明らかになっています。今後は、媒体ごとの効果の可視化にもお応えできるよう、Webタイアップのレポート項目を各社統一する取り組みが別途進行しており、『M-VALUE DIGITAL』とあわせてご活用いただければと思います」り、前年比104・3%となる637億円を記録した。好調に推移してはいるものの、インターネット広告媒体費が全体で2兆9611億円(前年比110・2%)と考えると、やや物足りない。まだまだ成長の余地はありそうだ。 「そのためには、解決すべき課題があると考えています。それが『レポート統一』です。2023年の夏頃、電通とADKマーケティング・ソリューションズ、そして博報堂DYメディアパートナーズの雑誌メディア担当で集まった際に、『Webタイアップレポートに課題がある』という共通認識を得ました。具体的には、レポートの項目が統一されておらず、効果検証がしづらい状態にあったのです。たとえば、記事広告を1ページで制作している媒体もあれば、複数ページで制作している媒体もある。にもかかわらず、PVで2媒体の効果を比較してしまっては、正確な評価はできません」と、博報堂新聞雑誌局局長(取材時□博報堂DYメ広告主のニーズはいま、媒体ごとの出稿効果の把握出稿を躊躇している要因と言えます。効果の可視化─そのためには、出版社のWebタイアップレポートの平準化は喫緊の課題であると考えました」 そもそも、出版社のWebタイアップレポートは、レポート項目が少ないという問題点もあった。 「結果、PVだけが達成指標になりがちで、効果検証しづらくなっていました。まずは各社共通の基本レポート項目を整理・拡充するとともに、横並びで項目を評価できるように、統一化することを目指しました」 従来のレポートでは、「PV・UU・クリック数・CTR+簡易属性」が主な項目だった。 「今回は新たに、読了率や平均エンゲージメント時間などを追加しました」 注目は、「1ページ目PV」の項目が設けられたことだろう。となる1179億円と、前年に続き増加。雑誌デジタル市場も同様に伸長してお 電通「2024年日本の広告費」によれば、雑誌広告費は前年比101・4%ディアパートナーズ)藤川修一郎氏は解説する。 そこで、タイアップレポートを平準化し、効果検証しやすい環境を整えることが市場拡大につながる。そう各社に訴えた。こうして、出版各社・広告会社が共同で立ち上げたのが「デジタルタイアップ価値証明プロジェクト」だ。 「本プロジェクトの目的は、デジタルタイアップ広告市場の拡大です。電通グループの発表によれば、2 0 2 3年のインターネット広告市場は、運用型広告が9割に迫る状況で、タイアップ広告を含む、『その他のインターネット広告』は3%以下に留まっていました」 その原因は何なのか?電通は独自に社内の営業に対して調査を実施。そこで浮き彫りになったのが「効果検証しづらい」ことが〝売りづらさ〟につながっているという事実だった。 「それはそのまま、広告主がデジタルタイアップへの効果の可視化は、市場拡大のための喫緊の課題博報堂新聞雑誌局 局長(取材時:博報堂DYメディアパートナーズ新聞雑誌局 局長補佐)藤川修一郎氏CASE2デジタルタイアップ市場拡大を目指し、レポート項目を整備□Webタイアップ基本レポート統一□(デジタルタイアップ価値証明プロジェクト)「M-VALUE DIGITAL」の第2回調査に関しては、出版社Webメディアのエントリーがスタートし、現在調査を実施中。レポートサマリーは、7月頃までにリリース予定。個別の出版社Webメディアについては、随時調査を受け付け中。4
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