出版社の広告情報発信戦略─講談社・集英社・小学館のADサイト比較研究─デジタル広告市場の拡大に伴い、出版各社は自社メディアを活用した広告ビジネスの強化を進めている。データドリブンなマーケティング支援やIP(知的財産)活用、オンラインイベントの開催など従来の広告枠の販売にとどまらない動きが活発だ。本記事では、講談社『ADステーション』(『Cステーション』グループ)、集英社『SHUEISHA ADNAVI』、小学館『AD POCKET』3社の広告サイトそれぞれのコンセプトと特徴を比較。さらに各社が目指す次世代の広告戦略に迫る。文/佐々木正孝 講談社の『ADステーション』は25年以上にわたり広告主や広告会社に向けた情報発信を続ける出版社系広告メディアのパイオニアだ。 メディアプラットフォーム部の川崎耕司氏は「各メディア営業担当が情報を直接サイトにアップする速報性が強みです」と語る。そうすることで最新の媒体資料や広告メニューが広告主や広告会社にリアルタイムに提供されている。 「講談社のメディアビジネそれらの上部に「マーケティングのコンシェルジュ」を謳う『Cステーション』があり、グループを形成。各サイトが相互補完し、メディアビジネス部門の窓口となって広告主、広告会社との共創を進めている。 「『Cステーション』は、広告主や広告会社、マーケターと出版社が同じ目線で情報を共有し、コンテンツマーケティング視点での発信を目指す『業界初のコンテンツマーケティングメディア』です」と川崎氏は位置づけている。 注目が高まっているマンガIP活用の分野では『マンガIPサーチ』の果たす役割は大きい。「企業がマンガIPを広告利用や商品化に採用しやすいよう、活用事例やコミックタイトルを業界最大規模で掲載。地方自治体、官公庁などからも問い合わせが増えており業種の広がりは今後さらに進んでいくと思われます」と川崎氏。 同サイトで特に注目されるのが「ライセンス担当者インタビュー」だ。これはライツ営業担当のマーケティング戦略に焦点を当て、事例紹介にとどまらず、ライセンス経緯も記事化、資料化されている。 「『進撃の巨人』は幅広いコラボを積極的に受け入れ、『攻殻機動隊』はレジェンドIPらしい歴史とブランドを感じさせるコラボを重ねています。担当ライセンサーをエースとしてフォーカスすることで作品ごとの施策や戦略の違いがわかり、起用を検討する方に具体的なイメージを提示するような記事を心がけています」 メディアプラットフォーム部は「講談社メディアカンファレンス」事務局の一ス部門が発信する情報や事例の掲示板的存在として『マンガIPサーチ』『講談社SDGs』と一体運営することによって、広告主・広告会社・マーケターに、より幅広い情報や価値をご提供できていると思います」 各サイトでは役割もターゲットも異なっているという。メディア別の資料やニュースを発信する『ADステーション』、マンガIPの広告利用や商品化を検討するマーケター向けの『マンガIPサーチ』、企業のSDGs、サステナビリティ、DEI(※)の担当者へ向けた『講談社SDGs』。そして、サイト同士の相互補完で共創を図るマンガIPの広告活用も促進グループシナジー強化を見据えたリニューアルを敢行※DEI:Diversity(多様性)、Equity(公平性)、Inclusion(包括性)講談社ライツ・メディアビジネス本部メディアプラットフォーム部部次長川崎耕司氏4つの広告サイトの一体運営がシナジーを生み広告主へとつながるADステーション(Cステーション)https://cstation.kodansha.co.jp/adstation【講談社】3
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