雑誌広告2025_05
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喫緊の課題だ。 「この構造からの脱却こそが、広告営業プラットフォームとして果たすべき役割だと考えました。また、コロナ禍で対面営業が激減、営業活動のあり方そのものが大きく変化したこともあり、デジタル上での情報発信強化も必須でした」 これらの課題を解決するため『AD POCKET』は「潜が顕在化したタイミングで営業担当へと引き継ぐ。既存顧客に対しても定期的な情報提供を通じ、小学館メディア・サービスに対するマインドシェアを高めることを意識し、新規顧客の獲得と既存顧客へのリテンションの両面を支援するプラットフォーム機能を目指す。 「『小学館のマンガIPには多様なラインナップが揃っている』『学年誌では教育・啓発の分野で先進的な取り組みを展開している』といった独自情報を発信し、ブランドの特性と市場価値を的確に伝えて、広告主や広告会社の関心を引き寄せます。資料ダウンロード時には会員登録していただき、メルマガ配信で会員の方へアップデートをお知らせすることで広告主や広告会社との継続的な関係を築き、広告出稿を検討する際の有力な選択肢として小学館メディア・サービスを想起させる。この流れをつくることが、『AD POCKET』の重要な役割です」 小学館は『AD POCKE T』を広告営業戦略の中核に据え、KPIとして「会員登録者数」の増加を最重要視している。登録者数は右肩上がりで推移しており「PVやUUもモニタリング対象ですが、何より登録者とのエンゲージメントを重視。具体的な広告出稿につながる動きも多く出てきています」と河村氏は手応えと期待を語る。 今後の展開として「マンガIPの活用強化」と「新たな営業機会の創出」という2つの重点施策を推進していく。マンガIPは、広告市場において強い関心を集めるコンテンツ資産であり、その活用をさらに拡大する方針だ。2025年度には『マンガIPチャンネル』の発信・運用体制を再整備。広告会社からの評価も高い「小学館コミック総合メディア資料」も更新を続け、マンガIPを活用しやすい環境の整備にも力を入れている。 「『ドラえもん』『名探偵コナン』といった大型IPに限らず、幅広いジャンルのマンガIPがあり、それらが様々な形で活用できることをもっと届けていきたい。そのためにも、今後は今まで以上にコンテンツマーケティングに力を入れていきます」 新たな営業機会の創出については『AD POCKET』を経由した商談機会の増加を重要な指標とする考えだ。新規の広告主や広告会社が自発的にサイトを訪れてスムーズに情報を収集し、関心を高めていける環境こそが売上拡大につながる、と河村氏は分析する。 「潜在顧客の掘り起こしにつながるコンテンツ戦略を策定し、サイト内の視認性や動線を明確化するなど、UXの整備にも力を入れ、より多くの広告主に小学館の広告メディアを活用してもらう仕組みを整えていきます。『AD POCKET』が広告営業DXの中心的な役割を担い、広告市場における小学館のプレゼンスをさらに高めていければと考えています」マンガIPを軸に広告展開を強化エンゲージメントを最重要視していく在顧客を顕在化させるマーケティングツール」としての役割を強化している。 各種の情報を通じて広告主や広告会社の認知向上を図り、関心を持ったユーザーには会員登録を促進。登録者には継続的にメルマガを配信し、広告出稿ニーズ「広告を売る」から「価値を創る」へ総括 出版広告市場の縮小、広告主の減少、一部広告主への依存度の高さ。こうした課題に直面する中、3社は共通する戦略を打ち出している。広告枠やタイアップメニューの販売にとどまらず「積極的な情報発信」「コンテンツマーケティング推進」「広告主や広告会社との共創」だ。コンテンツの中でも特にコミック市場は2024年には7043億円と7年連続で成長しており、その7割超を電子版が占める。アジアを中心にグローバル展開の可能性も広がる中、マンガIPの活用には一層の期待をかけている。 こうした流れを受け、3社は広告サイトの進化を加速。「IPの積極的活用」「データドリブン」「DX推進」によって、「広告を売る」から「価値を創る」に力点を移し、新たな市場の創出を目指している。6

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