料理研究家コウケンテツ氏メディア複合型でしかできない新しい試みから生まれていく今後の物語今回は世界的な有名ブランド企業の雑誌広告が例年以上に心象的で、「同じ価値観を共有する」のではなく、むしろ「違いを楽しむ」という強いメッセージを各社から感じ、とても新鮮でした。じつは昨年のこの審査会に参加して以来、「紙というメディアの未来と本質的な意義」について、自分なりに考え続けてきました。そんな中、中一の娘に、「どうしてマンガをデジタルで読まないの?」と聞くと、「紙の本のほうが記憶に残るから」と言われ、ハッとさせられたのです。紙の本には、質感や空気、触れる時間まで含めた〝記憶の残り方〟がある。それはたぶん誰の中にも静かに生きている感覚なんだと思います。今年も楽しみにしていたメディア複合型部門は、その「紙の力」を改めて感じさせてくれるものでした。昨年度は、次世代の媒体に大きな期待を持ちつつ、紙がデジタルの入口にとどまってしまうのでは?いう懸念もありましたが、今年は両者が有機的に響き合う、新しい表現が生まれているように感じました。特に福祉や介護の領域と結びついた作品群は、切実な問題へのアプローチとして、かつ雑誌広告の可能性をも、ぐっと広げてくれるような素晴らしい取り組みです。紙から生まれる物語が、また新しい出会いや感情をつないでいく─その始まりの瞬間に立ち会えたことを、心から嬉しく思います。33と
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