ウエブメディア『AMARC』主宰・スタイリスト大草直子氏デジタルメディアにはない雑誌広告の魅力を再認識雑誌が好きで出版社に就職しました。今日は雑誌の編集者として過ごしていた新人の頃を思い出し、雑誌の良さを再認識できるいい機会をいただきました。現在は、自ら立ち上げたWebメディアでメッセージを伝えたり、SNSで発信したりしていますが、こうしたデジタルメディアにはない手触りや匂いを持っているのは、やはり雑誌だけだなと感じます。作った記事に費やした時間だけ、読む人の記憶に残ると言われています。SNSは作ってすぐに発信することが多いので、4分とか5分、電車でひと駅移動するぐらいの時間でしょうか。そうすると3分か4分しか人の記憶には残らないのかもしれません。一方、雑誌の純広告やタイアップはいったいどれだけの時間をかけて作られているのだろうかと考えてみると、読者の気持ちに訴えかける力も重みを増しますし、同時に、ページにステイできる上質な時間も生まれていることに気づかされます。同じ雑誌に長く続いていくシリーズ広告は、毎号、掲載されているページもだいたい決まっているので、そのページを開いた時に「あっ、そうだ、そうだった」と商品や企業の魅力がストンと落ちてくる観があります。これがシリーズ広告の魅力だと思いますが、遠すぎないコンセプトを写真や言葉で表現していく手法にも、毎回、読者との親近感や親密さが表れていておもしろいと思います。34
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