るスタッフを置く体制だ。新たに英語版専用の取材や企画を立ち上げるのではなく、通常号の既存記事を土台に再構成する方法が採られている。「インバウンド向けに内容を改めて作るという感覚はありません。日本語版の視点そのものが、すでに海外で評価されていると考えています」(田島氏) 英語版の展開にあわせ、海外の読者に向けた英文リーフレットも制作している。マガジンハウスの雑誌の編集思想や過去の特集を簡潔に伝えるツールとして、書店やイベントなどで活用されているという。 京都特集号には、編集上の明確な意図もあった。観光地として過度に混雑する京都の現状を踏まえ、通常号の特集でも提示した「静かな京都」という視点を、そのまま英語版に引き継いだのだ。「通常号では『京都の余白。』としたサブタイトルを、英語版では『A 2025年9月に東京特集号、同年11月に京都特集号が刊行された『BRUT US』英語版は、特定の都市を切り口に日本文化の奥行きを伝えるガイドとして展開。それぞれの都市が持つ空気感や文化の層を丁寧に掘り下げ、飲食や空間、人物といった要素を通じて、日本の魅力を静かに描き出す構成。都市と向き合う視点そのものを提示する編集方針が軸になっている。 『BRUTUS』英語版は、マガジンハウス全体として進める「海外に向けて、より積極的に打って出る」という中長期的な方針の延長線上に位置づけられている。編集長の田島朗氏は、その前提として、通常の日本語版『BRUTUS』が海外ですでに一定の支持を得ていた状況を挙げる。 「『BRUTUS』も『POPE YE』と同様、思っていた以上に海外で売れていたんです。海外の方が来日した際に、古本屋や書店で買っていくケースも多かった。だったら英語版をきちんと作ってみよう、という判断になりました」 英語版の制作は、基本的に『BRUTUS』編集部内で行われている。翻訳のみ外部のチームと連携し、編集部側には英語版を担当すSELECTION IN THE SILENCE』という言葉で表現し、海外の読者にも文脈が伝わるようにしました」(田島氏) レイアウト面では、ベースとなる本誌を制作する段階から英語版への展開を見据え、横組みを前提とした設計がなされていた。縦に長文を連ねる構成を避け、1〜2ページ単位で完結する企画を積み重ねることで、翻訳時のレイアウト変更を最小限に抑えている。 翻訳作業において最も難しかったのは、「『BRUT US』らしさ」を英語でどう保つかという点だった。複数人が関わると文体がばらつくため、最終的には一人の翻訳者が全体を通して確認し、編集部側で細かなチェックを重ねる方法が採ら「静かな京都」を英語で伝える日本語版の評価を前提にマガジンハウスビジネスプロデュース部小林伸二氏マガジンハウスポパイ編集長町田雄二氏『BRUTUS ENGLISH VERSION NEW PERSPECTIVE KYOTO』、2025年11月18日発売『BRUTUS ENGLISH VERSION NEW PERSPECTIVE TOKYO』、2025年9月18日発売だと思っていました。そして実際に出してみて、次の展開が見えてきました」(『POPEYE』の広告を担当するビジネスプロデュース部・小林伸二氏) 刊行後の反応は、想定を上回った。海外書店での完売が相次いだだけでなく、世界各地のクリエイターやブランド関係者から、編集部宛に直接コンタクトが届くようになったという。その中には、広告会社や日本法人を介さず、本国から直接寄せられたタイアップの相談も含まれていた。 『POPEYE Special Edi tion Hello, Tokyo!』は、編集コンテンツが国境を越えてブランドやビジネスの接点を生み出す可能性を示した、象徴的なプロジェクトとなったようだ。都市を入口に編集思想をそのまま翻訳東京と京都から広がる□BRUTUS□英語版のかたちマガジンハウス□BRUTUS□CASE③6
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