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Training Program研修のご案内

研修のご案内

雑誌メディアは他マス媒体と異なり、海外広告主や海外提携雑誌も多くあります。世界各国には様々な雑誌があり、雑誌そのものの販売方法や雑誌広告の役割も異なっています。当協会では毎年「海外研修団」を派遣し、雑誌広告に携わる会員の皆様の視野の拡大、会員間での課題発見や情報交換、懇親の場としての研修を行なっております。

「2025年海外研修団レポート」(2026年会報2月号掲載より)

第58回JMAA海外研修団レポート

会長 山田徹也(東洋経済新報社)
「メディアの街」で感じたアメリカの自信と楽観

「NYはメディアの街」とはよく言ったものだ。街中を歩くだけで発見がある。感謝祭直前の華やいだ空気もよかった。何より、普段接点のない参加者との交流は実に気持ちのよいものだった。

詳細は各報告に譲るとして、大きく2つほど記しておきたい。まず気になったのは英語力。この点、通訳もしていただいた津山恵子さんには感謝しかない。ただ、通訳をはさむと時間は2倍かかる。講談社と電通では日本人スタッフに対応していただき、微妙なニュアンスを含めた情報量が充実していた。ツールの活用も一法である。

もう一つは訪問先のメリハリとレイヤー。今回の訪問団メンバーは現場担当者が大半で、実務に役立つ情報を知りたいというニーズが強かったが、私自身は異国の経営者との対話だけでもよい刺激になった。トランプ政権による圧迫などにもかかわらず、どこか自信満々で、メディアの先行きに楽観的な表情をみていて、機会を見つけてCTVやリテールメディア、新聞各社などを訪問してみたいという気にもなった。

経営的な大きな話を聞きたいのか、それとも担当者レベルのテクニカルな話を聞きたいのかで面談希望者のレイヤーも変わってくる。訪問先で面談したCEOレベルの人間に細かな数字を尋ねるのはいかにももったいない。これは「何が目的なのか」という研修の根本に関わることである。私にとって今回の研修の「湯加減」はよかったが、今後は参加者の顔ぶれに合わせて訪問先を毎年微調整してもよいかもしれない。

青木健祥(文藝春秋)新井邦弘(学研ホールディングス)浜崎裕一(双葉通信社)
People Inc
40超のブランドをデータドリブンで回す米国最大級の雑誌企業の戦略とは

People Inc.は米国最大級の雑誌メディア企業である。1902年に創業したMeredith社をルーツとし、数度の社名変更や資本統合を経てDotdash Meredithとして活動していたが、昨年7月末に、同社の看板雑誌Peopleと同名のPeopleInc.へと社名変更し、新たなブランディングを開始した。40以上のブランドを保有し、毎月約1億7500万の読者と接点を持つ。特にライフスタイル系に強く米国女性のほとんどにリーチしているとされる。

同社は有名雑誌を多数保有して、あらゆる顧客層のデータを広範・大量に獲得することを戦略の基盤に置いている。紙の雑誌もDMによる定期購読を主に部数規模を維持し、メール登録やウェブ誘導で顧客データの収集を狙っている。

ちなみに280万部を数えるPeople誌のデジタル版比率は25%で、主流はいまだ紙雑誌である。ただし、「紙媒体の需要が将来的にも維持されると思うか」という研修団から質問には「今のところ、なんとも言えない」という回答であった。

広告ビジネスにおいては、ウェブ読者のインテントに着目した「D/Cipher」という独自システムを運用し、最適な広告表示に繋げることを推進している。おそらくこれが同社最大の収益基盤となるはずで、そのための多ジャンル・多ブランド戦略であると理解した。ただし、インテント重視は既に目新しいものではなくむしろ、どの程度の成功事例なのか、今後も継続される仕組みなのか、という点に関心は移っている。

同社は「D/Cipher」の運用も含めOpenAIと早期に提携しており、AI検索の普及やゼロクリック問題についてはネガティブに捉えていなかった。むしろウェブ読者の記事遷移などのコンテクストをAI分析することで、最適な広告提供ができるという説明であった。

訪問時のヒヤリングの要点は以上だが、報道によると、People Inc.への社名変更と同時に、約40ブランドのうち主要な19ブランドに投資を絞る〝選択と集中〞の体制を明確にしたとされる。残りのブランドも継続はされるものの、成長戦略の埒外となる。社名変更前には、あらゆる顧客にアプローチする「360度計画」なるものを明示していたが、同社サイトからは現在その文言は消えている。

同じジャンルで複数ブランドを保有してきた目的が、多様な読者データを可能な限り獲得するためだとすると、選択と集中はその方向性とは逆行する。雑誌業界は同一ジャルで複数ブランドが切磋琢磨して発展してきた歴史があり、各ブランドの特色が読者データの多様性も担保してきたはずである。生物多様性が環境変化に対するレジリエンスを発揮するのと同様、媒体の多様性にも同じ価値があるとすれば、選択と集中への転換はこれを弱体化させることになりはしないか。数ヶ月前には一部人員整理の報道もあり、同社の方針転換は継続して注視する必要がありそうだ。

日本雑誌広告協会 海外研修団派遣実績

実施年実施回日数訪問国訪問地主たる訪問先
2025第58回8日間アメリカ合衆国ニューヨーク電通アメリカ・KODANSHA USA・Hearst Magazines USA・People Inc・Association of National Advertisers(ANA)
2024第57回8日間アメリカ合衆国ニューヨークインターネット協議会(IAB)・電通アメリカ・Hearst Magazines USA・KODANSHA USA・Video Research USA
2023第56回8日間イギリス/ドイツロンドン/フランクフルト国際雑誌連合(FIPP)・PAMCo・Amplify・Teads・Hearst UK・Frankfurt Book Fair・CARLSEN
2019第55回8日間イギリス/ドイツロンドン/ベルリン英国雑誌協会(PPA)・TimeOut・PAMCo・YouTube・AxcelSpringer
2018第54回8日間イギリス/ドイツロンドン/ミュンヘン国際雑誌連合(FIPP)・英国雑誌協会(PPA)・DENIS・Economist・TI Media・Amplify・ドイツ雑誌協会(VDZ)・MediaGroupMedwith
2017第53回8日間アメリカ合衆国ニューヨーク米国雑誌協会(MPA)・インターネット協議会(IAB)・電通アメリカ・VIZEUM・MaCann Erikson New York・MaGarry Bowen ,LLC・The Economiist・Hearst Corporation・Conde Nast Publications・Time Inc・Rodale Inc.・IDG
2016第52回8日間アメリカ合衆国ニューヨーク米国雑誌協会(MPA)・電通アメリカ・VIZEUM・Meredith Corporation・Time Inc・Rodale Inc.・IDG
2015第51回8日間アメリカ合衆国ニューヨーク米国雑誌協会(MPA)・インターネット協議会(IAB)・VIZEUM・Hearst Magazine International・American Media Inc.・WINNER MEDIA LLC