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Training Program研修のご案内

研修のご案内

雑誌メディアは他マス媒体と異なり、海外広告主や海外提携雑誌も多くあります。世界各国には様々な雑誌があり、雑誌そのものの販売方法や雑誌広告の役割も異なっています。当協会では毎年「海外研修団」を派遣し、雑誌広告に携わる会員の皆様の視野の拡大、会員間での課題発見や情報交換、懇親の場としての研修を行なっております。

セミナーのご案内

「2019年海外研修団報告」(2020年会報1月号掲載より)

ロンドン~ベルリンで見つけたぶち壊すべき「己の壁」!?
団長 戸髙良彦(マガジンハウス)

 2019年10月12日朝9時、台風19号の嵐が吹き荒れる直前の成田に、我々は無事帰還。研修から帰国しギリギリで家路に着いた。福の神が一緒だったのでは? と思う。
 ロンドンで英国雑誌協会(PPA)、パムコ(PAMCo)、TimeOut、YouTube、老舗書店『FOYLES』と『Daunt Books』、そしてベルリンでAxel Springerを訪問。さらに幸運にも大英博物館で開催され大いに話題を呼んだ「The Citi Exhibition Manga」展キュレーターのニコル・クーリッジ・ルマニエールさんにも直接取材の機会を得た。
 「欧州ではアニメやゲームを入り口に源流のマンガ(紙)を楽しむファンが増えている」。マンガ(紙)から「深い精神性」を感じると語るニコルさんの言葉が心に響く。YouTubeのエリー・ピブスさんも「情報だけでなく人間の感情に訴える“ 何か”を伝えたい」と言う。メディアは何であれ、結局、コンテンツにパワーがあるか面白いか否かだ。
 またTimeOutはメディアのネットワークを活かして、停滞していたリスボン市のフードホール運営事業に2014年から取り組み大成功を収め、世界4都市で事業を展開中とのこと。CSV活動には時代的にも大きな意義がある。この先、出版社も事業参加するチャンスが増え、様々な「壁」に出合うとは思う。そこで、企画編集力やネットワーク、知見をフル稼働させ、どう乗り越えるか?ぶち壊せるか!?
 「己の壁」を団員それぞれが見つけた、とてもありがたい経験になりました。

イギリスロンドンの書店事情 攻めのイベント、守りのサブスク
杉下一浩(文藝春秋)

 今回の海外研修では、ロンドン市内の特徴ある書店を2軒訪れた。一つは、ソーホーの一角にある1903年創業のフォイルズ。店長のカルメロ・パグリーシ氏の話。「2011年、セント・マーティンズ芸術大学の校舎だったいまの建物に引っ越し、大改装を行いました。同大学を意識して、アートやファッションの品揃えを充実させています。イベントにも力を入れていて、例えば、『コンビニ人間』が昨年ウチのブック・オブ・ザ・イヤーの一つに選ばれたので、著本の仕分けを国別の棚にして並べているところが大きな特徴で、これにより本を美しく陳列しています。もう一つは、4つのサブスクリプション(定額制)コースを用意し、毎月1冊本を届けるサービス。現在3000人程の利用者がいます。本の値引き販売はせず、毎日のようにイベント開催するなど、読者サービスと独特な棚作りをすることで集客を目指しています」
 ロンドンの書店も「壁」を乗り越えようと様々な努力をしていた。

Axel Springer
アクセル・シュプリンガー
渡辺妙音(新潮社)
立﨑祐輝(双葉通信社)
岩水洋子(徳間書店)

ヨーロッパ最大手のドイツの新聞・雑誌社アクセル・シュプリンガー社(以下、AS)は全国紙DIE WELT、タブロイド紙Bildなどの日刊紙や、多数の雑誌を刊行している。いや、いたと言うほうが正確かもしれない。展開するメディアは約180に及ぶが、その多くはデジタルサイトである。年間売上32億ユーロ(約3800億円)のうち、デジタルが約7割。また、売上の半分以上をドイツ国外から得ており、40か国以上に子会社等を展開している。
 広報とデジタル戦略を担当するモーリツ・ホルツグラフェ氏に話を聞いた。
 「当社は2000年ごろ、デジタルの売上は1%でした。そこに2002年、CEOになったマシアス・ドップナーが『当社はヨーロッパメディアビジネスのデジタルにおける勝者でありたい』と述べ、デジタル化へと大きく舵を切ったのです」
 ASは、新聞が3要素で構成されていると分析し、それぞれのデジタル化を図った。
①記事→ニュースサイト
②不動産、求人、中古車売買などのいわゆる三行広告→クラシファイドサイト
③企業広告→マーケットサイト(日本の「価格.com」同様のサイトなどがある)
 「この3分野のうち、最も売上が多いのは①です。ただし、課税・償却前の利益が大きいのは、②です。
 Bildは1995年は450万部でしたが、今は100万部。業界で初めて、有料版デジタルサイトも提供していますが、その会員数は43万人。デジタルの編集経費を紙の売上で賄っているのが実情です」
 ASでは看板ブランドのBildを冠した自動車誌、スポーツ誌などが紙媒体として今も高いシェアがある。その一方で、女性誌を「Bild」の冠ごと他社に売却してもいる。紙の雑誌の広告セールス状況についてホルツグラフェ氏はこう語った。
 「広告主の出稿もデジタルメディアへの移行が進んでおり、紙媒体への出稿説得は非常に困難です。紙媒体の愛読者は一定数いますから、発行は当面継続しますが、いつまでという保証はできません」
 メディアのデジタル化を進めるASだが、大きな課題はGoogleやFacebookへの対策だという。
 「たとえばGoogleで検索したユーザーのうち、Googleが最初に表示する検索結果で約半数が満足し、当社のような外部メディアには来ません。また、当社が展開したデジタルメディアにGoogle やAmazonなどが進出し、ユーザーの囲い込みを進めています。我々が取材して作ったコンテンツにこうした企業はタダ乗りしており、それに対して適正な対価を払わせるよう、議会への働きかけなどを強めているところです」
 メディア企業にとって、デジタル化にも大きな問題が立ちはだかっているようだが、ホルツグラフェ氏の取材で見えたのは、もはや紙からデジタルへ、媒体が移行するのは待ったなしという状況にあるということだった。

日本雑誌広告協会 海外研修団派遣実績

実施年実施回日数訪問国訪問地主たる訪問先
2019第55回8日間イギリス/ドイツロンドン/ベルリン英国雑誌協会(PPA)・TimeOut・PAMCo・YouTube・AxcelSpringer
2018第54回8日間イギリス/ドイツロンドン/ミュンヘン国際雑誌連合(FIPP)・英国雑誌協会(PPA)・DENIS・Economist・TI Media・Amplify・ドイツ雑誌協会(VDZ)・MediaGroupMedwith
2017第53回8日間アメリカ合衆国ニューヨーク米国雑誌協会(MPA)・インターネット協議会(IAB)・電通アメリカ・VIZEUM・MaCann Erikson New York・MaGarry Bowen ,LLC・The Economiist・Hearst Corporation・Conde Nast Publications・Time Inc・Rodale Inc.・IDG
2016第52回8日間アメリカ合衆国ニューヨーク米国雑誌協会(MPA)・電通アメリカ・VIZEUM・Meredith Corporation・Time Inc・Rodale Inc.・IDG
2015第51回8日間アメリカ合衆国ニューヨーク米国雑誌協会(MPA)・インターネット協議会(IAB)・VIZEUM・Hearst Magazine International・American Media Inc.・WINNER MEDIA LLC